捨て科目を作ることのリスク

公務員試験は多くの科目から数問が少しずつ出題されるのが特徴です。

元々満点をとれる試験ではないので、いくつかの科目を捨てたって合格が可能です。

切ることで浮いた時間を他の対策に充てることでより効果的な学習が可能になります。

このように、捨て科目は試験を突破するうえで欠かすことのできない重要な戦略なんですが、当然捨てることによるリスクもあります。

受験生を見ていると、リスクを考えずにお気楽に切っているな~って印象を受けます。

今回は2つのリスクを紹介します。思い当たる人は多いはずです。

【リスク1 得意科目に時間を割いたからといって満点を取れる保証はどこにもない】

公務員試験では数十問の中に「難問」「標準」「易問」と難易度が違う問題が混ざっています。

公務員試験には明確な出題範囲が存在しないので、どんな試験でも過去に出たことがないような難問が必ず出題されます。

その難問が時間をかけて勉強してきた得意科目だったらどうしますか?

本当に満点を取れる自信がありますか?はっきり言って多くの人が不可能なはずです。

じゃあ、難問が取れるようになるまでその科目を勉強しますか?

それは時間の無駄ですね。

よく「苦手なあの科目を切ったから、得意なあの科目で絶対に満点を取りたいんです」っていう人がいるんですけど、絶対にやめてください

公務員試験の特性上それは無理だし、時間の無駄です。

80点は取れる得意科目を100点にするより、0点の科目を50点に引き上げるほうがよほど効率がいいですよ。

【リスク2 時間配分が下手な傾向にある】

「難易度にばらつきがあり、難問が含まれている」「満点を取らなくても合格できる」これが公務員試験の大きな特徴です。

公務員試験を「点取りゲーム」に例えている人がいましたが、公務員試験は「難問という凶悪な敵から素早く逃げて(短時間で捨てて)、易問という弱っちい敵を時間を取りこぼすことなく退治するゲーム」です。

難問を素早く諦めて短時間で切ることこそ公務員試験において最重要の戦略です。

しかし特定の科目にだけ時間をかけている人ほど試験中その科目がどんなに強敵でもそれに時間をかけてしまい、他の倒すべき弱っちい敵に時間をかけられない傾向にあります。

よく「あれだけ勉強してきた得意な科目、どうしても正解したかったから時間をかけすぎてしまった。でも解けなくて時間だけが過ぎてしまった…」なんて失敗談をよく聞きます。試験中に最もやってはいけない失敗の1つです。

このように捨て科目をつくり得意科目に依存しすぎる人ほど、その科目で正解したいっていう欲望が大きくなりすぎて試験中に平静を保てないという失敗をする人が多いように思えます。


以上、「捨て科目を作ることのリスク」を述べてみましたが、僕は捨て科目を作ることに反対はしません。現実問題捨て科目はできるはずです。

しかし、皆さんには安易に捨て科目を作ってほしくないんです。

捨て科目を作るということは高度な戦術です。シロウトが何も考えずにやっていい戦術ではありません。

捨てるときはリスクを知りつつ、プロの先生や先輩に相談することを忘れないでください。

柴崎直孝の公務員試験研究所「柴研」|数的処理・自然科学

公務員採用試験で出題される重要科目「数的処理」を中心に、勉強方法、問題・解説などを発信しております。 ごくたまに、私的なことを書いたりもします。